新お悔やみの部屋日記帳

自作小説を掲載したり、物書き状況を喋ったり。ツッコミ歓迎。写真とサカーは「はてな」に移転しますた。

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当方から覗ける小説は以下のとおり

●「お悔やみの部屋」では主に創作物の公開を行っています。現在も更新中なのは、「川辺の祭」と「河図石語」の2作品。他にも完結済長編などがありますので、こちらの本家玄関からどうぞ。
 感想やご意見は大歓迎です。ブログ掲載分ならばコメント欄、それ以外などはメールフォームに四六四九!

川辺の祭(大長編・10章1節まで公開済)
 舞台は本州日本海側の某市。普通の高校生に、謎の男女「ツル」と「ゴロウ」が取り憑いて、謎解きしたり仲良くなったりする物語。攘却の「祭」を経て、ラブコメ要素が強まっていますが、まだ謎の影は残っていたりします。 進行状況は祭を書いてる人の話エントリで。 
 ちなみに、基本的にはダラダラ笑いながら読むような小説です。実は原稿用紙2000枚以上あったりしますが、案外ストレス無く読めるという報告もあります。時間はかかるけど。

安楽の記憶(短編・完結済)    
 ブログで公開された初の連載小説(全4話)。なおhtml版も制作済。リアルタイム以外の方はhtml版で御覧あれ。
 内容は卒業間近の大学生の話。非常に難解なのでご注意。html版の解説を読むと、特定地域の人は楽しめるかも。

河図石語(シリーズとしては長編) 四月編         10 11 12
GW編      7−1 7−2   10 11−1 11−2 11−3 12−1 12−2 12−3 12−4
庭田激闘編1−1 1−2 1−3 相馬探険編1−1 1−2  3−1 3−2
五月研究会編1−1 1−2 2−1 2−2
 ブログで現在更新中の連載小説(次は五月研究会編)。html版もそれなりに充実中。格闘技団体を無駄にパクった画面に注目しておくれやす。
 文学部のサークル活動を主に描く作品。サークルの活動内容はかなりマニアックですが、わりと典型的な大学生の雰囲気を出そうとつとめている次第。基本的にコメディ…だと思われます。

河図石語 五月研究会編第2話−1(宮海)

 空を飛んでいた。
 私はなぜか迫り来る悪と戦っていた。それも、圧倒的な力で薙ぎ倒していた。時々は頬をゆがませて薄笑いを浮かべながら、私は破壊の限りを尽くしていた。すごいぞ私。すごいぞ博美。
 本当に悪だったのか知らないけど。戦って何がどうなるのか分からないけど、それを疑問に感じてはいなかった。
 もう一人の私。
 あるいは夢の中の私。

 目が覚めてみれば、そんな記憶は薄れ、薄れる記憶に代わって冷静な思考が頭を支配し始める。
 私は、そう、「妖怪」みたいなものだった―――。

「…って感じでどう?」
「だから、いますぐ作家になるべきなの」
「誰が」
「博美が」

 直美と日替わりを食べながら、本日の構想を考える。
 そう、本日はとうとう研究会だ。自分の発表だ。けっこう時間があったはずなのに、まとまりもつかないまま朝を迎えてしまった私にとって、夢だけが救いの蜘蛛の糸だった。

「今日のお茶はいちだんと薄いね、博美」
「そうね」
「で、まとめると妖怪は見えない敵と戦っているってこと?」
「まとめないでよ」

 連休明けで少しは減るかと思われた食堂の人出は、さして変わってない感じがする。いろんなものが混じり合い、独特の臭いに包まれたこの異空間で、相変わらず席を求めてさまよい歩くゾンビの群れ。彼ら一人ひとりの背後に餓死者の亡霊が漂っていたとしても、誰も驚きはしないだろう。
 その殺伐とした空気を当たり前のように遮断して、マイペースで煮付けを食べる直美は、やはりキャンパスの華とでも呼ぶしかない。
 実際、たぶんゾンビたちも、直美ならいつまで座っていても許してくれるだろう。それはまるで教室に飾られた一輪の花……では喩えが違う。

「博美は退屈なんでしょ?」
「まぁね」

 そろそろ嘘が大きくなってきたので、いちだんと薄いお茶をすする。
 私はいつも、直美を誉めることに熱中してばかり。今日はそれどころじゃないんだけどなー……と、また目を輝かせてる目の前の表情を追う。たぶん自分も同じくらい目を輝かせているけど、あまりそのことは考えたくない。

※後半へ続く

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河図石語 五月研究会編第2話−2(宮海)

「準ちゃんとケンカするつもり…」
「話がかみ合えばいいけどねー」
「司会しだいかな、やっぱり」
「うーん」

 司会、という単語がはき出されていくその瞬間、少しだけ直美の表情が変わっていく。そんな微妙な変化を、まるで予期したかのように私の身体は勝手にため息をつく。
 し、か、い…。そこに期待するのはどうだろう。
 分かりやすく首をかしげながら、さらにお茶をすする。たぶん理想的な音を立てているはずだけど、昼休みの学食は海鳴りのような音響に包まれている。時々私の意識は溺れかかる。
 きっとあの司会は……、三つ巴の争いへと誘導するに違いない。私以上に好戦的で、いつでも主役を奪う気で。
 まぁ私も主役の座を渡さないつもりなんだけどね。当たり前だ。

「準ちゃんはまたやるかなぁ」
「何を?」

 学食では食事が済み次第席を立つのがマナー。
 さっと立ち上がると、直美が少し遅れて椅子を動かす。その瞬間、いろんな視線を感じる。周囲の視線は一斉にミスキャンパスを見て、で、ミスキャンパスは……。

「踏み絵」
「……させたら私の負けだわ」

 まぁやめよう。まるで嫉妬に狂う女みたいな構図だ。実際、直美に嫉妬しないわけじゃないけど。
 時計を見る。十二時四十二分。三限は講義があるから準備が出来ないなぁ。十五分もあれば何か出来るかも知れないけど、今はもう少しだらだらしていたい気分。

「墓でも見る?」
「博美と一緒なら見てもいいかな」
「アホ」

 二人黙って階段を登り、四階の教室へたどり着く。要するにそれは三限の講義の会場に過ぎない。けれど、教室の扉のそばの窓からは、大学北側の緑が見えた。小高い山と、森と、ついでに墓地。
 新緑に包まれた墓地は、その用途さえ考えなければそれなりの景色だ。いや、用途を考えればこその絶景? 私たちもいずれ潜る約束の地? そんな将来は描きたくもない。

「あの山に名前がついたから、世界は始まった」
「博美はけっこう古湊先生信者だよね」
「心外だわ」
「そう?」

 語れば語るほどに見えなくなっていく世界。だけど複雑化することは未分化に戻ることとは違う。解き明かすことが困難になるのは、解き明かさなくても良いから。「妖怪」はせめて、それぐらいの分かりにくさで出現させたいよね。
 腕をぐるぐる回して、なまった身体をほぐす。隣で微笑む直美の顔をちらっと見て、その微妙な視線の位置から、やっぱり直美の方が背が高いという確認もしておく。口にすると論争になるからやめておこう。

※感想、拍手など歓迎します。

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ミスキャンの季節

 相変わらず多忙を極めつつある今日この頃であるが、10月末から11月上旬はミスキャンパス決定の季節らしい。「河図石語」の設定上、一応は注目せざるを得ない。全然興味はないけど。
 自分の出身大学では、そういうコンテストはやってなかった記憶がある。かなりのマンモス大学なので、やろうと思えば出来たはずだ。まぁしかし、自分のとこの学生を眺めに行くって感覚も、いまいち分からない気がする。

 何せ私は文学部卒業なので、女子学生の方が多いという環境で四年を過ごしている。男子学生に非常に人気のある女子学生の友だちもいた。「河図石語」でいうところのミスキャン女は、そういう素朴なレベルに近いと思われる。
 まぁ企業スポンサー付きで、タレント事務所に登録してる学生が集まるイベントなら、観賞するって発想にもなりそうだ。でもなぁ、最初から営利イベントになってるミスキャンなんて、学内でやる必要もないよな。

 手元にある学生向けフリーペーパー(一応、そういうものを手に入れる環境はある)では、東京のミスキャン特集みたいなのが組まれていて、ぱらぱらめくって見たけれど、いったい彼女らが学生だからなんなのだろう、と思わなくもない。
 もっと胡散臭くないと、創作意欲にはつながらんなぁ。そんなどうでもいいことを思う今日この頃であった。

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昔の自分に驚いてみたり

 毎年十一月は超絶多忙スケジュールとなっている。今年は去年より若干マシなようで、しかし去年はなかった仕事が加わるから、たぶん去年以上だ。去年って一文の中で三回も口にするイヤな表現になってしまった。

 そんななかで、しかし書きたくなる時もあるから、気分転換に「川辺の祭」を少し読んでみた。あんまり古いのは読みたくない(ああ書き直したい!)ので、9章を読む。で、思う。どうやって私はこれを書いたんだ、と。
 文章表現力はさておき、あの長さ。うねうねと続く会話。赤面モノの会話。我ながら、これはもう罰ゲームの域に迫っていると感心した。

 そういう意味では、しばらくヒロくんとえーこの話は難しいかもなぁ、と思う。たぶん連載再開は、まず無職になって、それから半年ぐらいリハビリしてからだろう。出来れば半年以上も無職でいたくはないが。
 ともあれ、あのペースが無理だから書き始めた「河図石語」ぐらいちゃんと進めろよ、自分。

 なお、「河図石語」五月研究会編は一応執筆中。発表当日の宮海博美のピリピリした感じが書きたいけれど、今は自分自身がいろいろ締切を抱えているから、うまく他人事として書けないぞ。
 それから最後に、拍手ありがとうございますみだ。

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どうにか再開するも、前途多難

 「河図石語」五月研究会編をようやく公開開始。
 やはり彼らはキャンパスにあってこそだと思う。文学部学生のいかがわしさは、学内で発揮される。なお、第2話は当然のように宮海である。庭田の次は宮海と、こうも不動のラインナップになっていいものか、と思わなくもない。
 彼らは予想を常に裏切ることに価値があるという連中だ。それはかつての自分。いや、今でもそうか。

 柳田國男に対するスタンスだけは、ガチでいきたい。
 私自身の立場が誰に投影されるのかは、ある程度予測可能だ。問題はそうでない立場をどれだけ描けるか、だ。
 信者を描くのはたやすい。しかしたぶん、浜中準だって無垢な信者ではない。そういうマニアックなひねり具合がうまく描けたなら、そこそこ本気のサブカル小説へ仲間入りしそうだ。

 この半年は、わりと戦っている。なのでこういう古めかしい対立項を、学生の対話として書いていくことも、不可能ではない、そう思うことにしている。

 ところで読者の皆様にとって、こういうこだわりって必要なのだろうか?
 ちょうどウチのブログも拍手200を超えたようである。辺鄙な場所にしては上出来な数字(拍手ボタンが設置されたのはかなり後だし)。ご愛顧ありがたい限りだ。
 「安楽の記憶」的なノリより、「河図石語」の方が一般向きなのは言うまでもない。当面、後者が前者みたいな方向に向かうことはないけれど、私はああいう分かりにくい青臭さを好む書き手でもある。
 どのぐらいのバランスが良いものか、願わくば拍手ボタンででも示してくだされ。

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河図石語 五月研究会編第1話−1(庭田)

「やぁ元気かい宮海クン」
「元気よっ!」

 ふふーん。
 宮海は元気らしいぞ、聞いたか諸君。実は俺も元気だ。他人が苦労していて、俺はその苦労を共有せずに済む状況は、実に気分がいい。我が心すがすがし、だ。地名の一つや二つはつけてやるぜって気分だ。

「印刷手伝ってよ」
「手伝ってやらなくもないが、いつ出来るんだ?」
「そのうち、よ!」

 談話室という名のここで談話する者などいない。基本的にここはただ叫んだりわめいたりする場所。動物園の檻の中だ。
 我々も当然のように騒音をまき散らすが、あるいはそこに何らかの調和があったりすれば、ここは談話室の名に相当するだろうか。
 何を言っているのか分からないな。
 ともかく今日は本年度研究会初日。柳田国男の名著『妖怪談義』について、副部長であらせられる宮サマの御高説を賜わる日である。こんな雑然とした空間ではなく、静かでキレイな教室が舞台だ。そこはまるでリアル宝塚!
 ………。
 まぁ当日の昼にこのアリサマで、どれほどの御高説になるやら状況は不透明で予断を許さないが、一応こうやって焦っているのだし発表すっぽかしはなかろう。
 うむ。
 研究会は過酷だ。
 今までに幾多の屍を晒してきたことか―――。

「よぉ宮サマ、なんだまだ出来てねぇのか」
「殴ってあげるから右の頬を出しなさい」
「右をやられたら……、次は分かってるな、浜中準」
「分かるか!」

 空気の読めない男、ハマジュンも現れた。宮サマにとっては俺もハマジュンも同じようなものだろうが、俺の視点では違う。偉そうに言うことでもない。
 ………。
 ちなみにハマジュンとは、昨夜のテレビを見ながら思いついた画期的な名称である。まだ声に出してないから、俺は密かに他人の名前を独占していることになる。フフ。
 別になんのありがたみもありません。フフ。

「四時までに済むのか?」
「大丈夫、もう話すことは決まってるから」
「真の妖怪は私です、とか」
「そんな話で面白いと思う?」

 からかうつもりが蔑まれてしまい、俺は嘆きつつその場をあとにする。宮海は時々頭が切れすぎていけない。なぁハマジュン。
 男二人で出かける先は、ただの学食だ。全くオサレではなく、味の保証もない。所詮俺たちはそういう関係なのだ、とお互いにはっきりさせるにはいい場所だ。なんの話だっけ?

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河図石語 五月研究会編第1話−2(庭田)

「相変わらず宮サマは準備が遅い」
「…来週はキミじゃないのかサダジュン」
「無論だ」

 妙に偉そうな奴を前に、どうにも新名称を披露し辛くなっているわけだが、そもそもこの新名称には披露されるほどの価値があるだろうか、などと余計な心の揺れも始まっている。サダジュンの方が遙かにひねった呼び名ではないか。

「柳田国男先生が存命ならば、俺は弟子入りした」
「はぁ」
「庭っちはそこでどうして感動しないんだ」
「いや、一応してる」
「一応じゃダメだ。もっと本格的にしろ」
「はぁ」

 浜バカ大先生の言語感覚というものは、常人には理解が難しいものである。いや、理解しようと試みるのがダメなのだ。感じろ。感じれば伝わるさ。

「しかし」
「…なんだ庭っち。不服か」

 まぁともかく、浜中準が柳田信者であることは、残念ながらレミタンの常識である。
 そういう研究会なのだから、いても不思議ではない。しかし今となっては絶滅危惧種。

「それならおまえが概説をやりゃ良かっただろうに」
「………」

 浜中準はすねてしまった。
 まぁすねるだろうと思って発言したわけだが。

「宮サマはなぁ、いずれ目覚めるさ」
「眠っていてもらった方がいいんじゃねーか?」
「ふっ、何とでも言え庭っち。いいか、刮目して待てっ!」
「来週をお楽しみにね」
「…まぁそんなとこだ」

 アニメの予告編の真似に、大真面目な返答しか出来ない男。その余裕のなさで大丈夫なのか浜中!
 浜中! 浜中!
 無駄に盛り上がって、しかしその必要のなさに気付いて醒めていく。


 宮サマは柳田信者ではない。
 そして俺も信者とはいえない。いや、これだけ柳田民俗学が否定されていく世の中で、しがみつく方が難しい。幾多の批難に耐え続けるしかないからだ。
 ハマジュンの潔さに多少の嫉妬を覚えつつ、壁の時計を見る。
 …ちょうどイベントの一時間前。
 そろそろ談話室に戻ろうか。目と目で通じ合う、そういう色っぽい関係の俺たちだった。

「左の頬までやられちゃ痛ぇだろうな」
「ざっつらいと」
「それは右だ」

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急かされるなぁ

 一ヶ月で広告出しやがる。だんだんFC2も余裕がなくなってきたよな。
 管理画面の広告も鬱陶しくなった。全部消すのに一苦労だった。

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忙しいって嬉しくないもんだ

 そろそろ広告が出そうなので書く。
 「河図石語」は七月上旬にある程度は書いていたのだが、それから止まっている。他の仕事が多すぎるのである。
 学生の頃の「忙しい」って、ずいぶん暇だったなぁ、と思う。

 どうでもいいけど、いわゆるアルバイトって割に合わない仕事だよなぁ。
 現在の自分は二箇所からお金をもらっていて、その片方は「原稿料」である。「原稿料」がメインであった時は「フリーライター」などと適当に名乗っていたから、それをアルバイトとは呼ばなかった。が、現状では副収入扱いなのでアルバイトであろう(もちろん、メインであった時期とは原稿の量が違う)。
 アルバイトとして考えた場合、「原稿料」は良い仕事といえる。時給換算で4000円近い月もあるだろうし(月によって費やされる時間は違う)。正業ともなり得る仕事と、最初からアルバイトのみを想定した仕事では、結構な差が生まれるわけである。

 まぁしかし、アルバイトとしての「原稿料」は、時給がどうであれ負担が重いのも事実。やめたら楽だろうなぁ、とも思うけど、収入が減るのは惜しい。惜しいで済んでる間は続けるだろう、たぶん。
 そもそもライターって仕事は確実に減少している。ウェブも含めればそれなりにあるだろうが、ウェブのライターで飯が食えるとは思えない。かといって紙媒体は経費削減で、外注ライターをやめて社員で済ます傾向が強まっている。
 時給4000円近い「原稿料」は相当にレアである。たぶん私が手放して誰かに受け継がれることはないだろう。企画自体をもっと単純なものにして、内部で済ますのではなかろうか。

 でも、そういう「原稿料」で続けてきた側から言えば、内部で済ましたら、いずれ自分の首を絞めるだろう。媒体の全体が「誰でも書ける」内容になった時は、媒体が魅力を失う時である。
 ついでに、「誰でも書ける」ってのは契約を奪われる理由だしね。

 うむ。なんか著しく話が逸れたぞ。ここまでずれるのは久々だな。

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悔いても何も還りはしない

 長らく止まっていた「河図石語」更新再開。html版も同時更新して、とりあえずの完全復活ということで。
 こんな短い話に三ヶ月もかけるなよ、と思う。でもまぁ、物理的な時間以外に、難航した理由があったのも事実である。どっちかというと、相馬美恵は書きにくいのだ。
 次は五月研究会編となる。露払いの第一話はそんなに時間かからないはず。導入部分だけ公開してもしょうがない気もするけど。

 で。
 三沢光晴も、テッド・タナベも、マイケル・ジャクソンも、等しくいなくなって寂しい存在。
 あーあ。出来ることはやらなきゃね。

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河図石語 相馬探険編第3話−1(相馬)

 本屋の自動ドアを抜けて、少し歩いた先の公園で一休み。軽く動揺している自分を立て直そうとカバンを開いたら、一冊の本のようなものが見えた。
 ……携帯用の市街地図だった。
 もちろん自分でカバンに詰め込んだもの。大丈夫、ちゃんと思い出せる。けど、すっかり存在を忘れていたから意味がない。

「お待たせいたしました。まもなく205系統が参ります…」

 せっかく思い出したので、開いてみようか。でも、こんな近所の公園に出掛ける程度で地図を開くのは勇気がいるかも。誰も私が近所に住んでいるなんて知らないだろうけど、そもそもここは観光地じゃないから不自然だよね……と、いろいろ言い訳を重ねつつ少し歩く。
 やがて見えてきたバス停で、機械音声がバスの接近を告げている。とてもハイテク。だからちょうどいいや。乗る気もないのにベンチに座り、ついに閉ざされた世界は白日の下にさらされてしまった。
 それは入学式の日の帰りに買ったものだった。
 この町で初めて買った本にはたくさんのページがあって、そのどれにも細かく道が載っている。とりあえず買った晩にパラパラとめくって、それから数日の間はカバンの中にあって、いつの間にか部屋の隅に埋もれていた……。
 地図は何のためにある?
 たとえば、ふわふわ浮いてる自分の座標を示してくれるもの? それはそうかも知れないけど、ふわふわ浮いてるなら座標なんて無意味だ。

「お待たせいたしました。まもなく204系統が参ります…」

 そんな地図に、時々蛍光ペンでラインが引かれている。ピンクの細いライン。もちろん、それを引いたのも私自身だ。
 生まれ育った町を初めて離れた三月の末に、私は目標を立てていた。
 一つは、地図を買うこと。
 それから、歩いた道を地図に書き込むこと。
 別に、書き込むことが何かのためになるとは思わなかったけれど、どうせ何をしていいのか分からないから、気休めぐらいにはなりそうな気がした。

「52号系統です。整理券をお取りください。52号系統です。整理券を……」

 目の前でバスの扉が開き、相変わらず変化のない音声が流れてくる。たたみかけるように流れるその音に、だんだん気まずくなった意識は自然に地図へと逃げていく。何も頭に入らないけれど。
 やがて扉を閉めてバスが去っていくと、私もベンチを立った。次のバスに耐える自信はなかった。
 ふぅ…。
 ため息をついて、また地図を見る。バス停のマークの記されたこの地点に、マークは引かれていない。一瞬考えて、もう一度ため息をついて、地図を開いたまま歩き出す。
 今日のカバンにマーカーは入っていただろうか。取り出した記憶もないし、最後に使った時からずっと、どこかに埋もれているに違いない。たった一ヶ月の薄っぺらい地層のどこかに。

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河図石語 相馬探険編第3話−2(相馬)

「へーらっしゃいらっしゃいらっしゃい!」
「すみびぃやきにくぅ」

 学生向けの店が並ぶ一角を通りすぎる。
 目当ての学生はいないけれど、音だけは鳴り続ける。要するにこの呼び声は、たとえば私という個人に対してのものではない。私も四月からは含まれている、「学生」というカテゴリーへの呼びかけだ。
 当たり前じゃないか。
 テレビショッピングだって、テープの呼びかけ声だって、自分のためじゃない。何を期待していたんだろう。ただそれは、私が聞いても叱られない、それだけなのに。

「あなたとわたしのしーじーしー」

 吸い込まれるように潜り込んだスーパーで、さらに激しい音の洪水と出会う。
 もちろんどれも、私が聞いていい音たち。気後れせずに済む音たち。誰の声なのか、いつの声なのか何も分からないけれど、少なくとも自分の声じゃない音たち。
 買い物をするわけでもなく、店内をうろつく。もう見慣れた食料品売り場をうろうろ、そして階段を昇って……。
 そこには未知の空間があった。
 天井の低い空間にはあまり人がいない。その代わりに衣料品が並ぶ。いくら気の迷いが起きても、大学生は買いそうにない服ばかり。なんて無意味な旅。
 …なのに今の自分はちょっとはしゃいでる。
 だって私はレミタンの新入部員だ。眠り続けていた地図を、昨日の夜に探し出したのも、そんな自覚が生まれからかも知れない。ちょっと盛り上がり過ぎだ。そろそろ帰ろう。どうせ食べ物を買うついでなんだし。

「たすけーられたりたすけたりー」

 再び食料品売り場へ向かう。
 が、階段を降りた目の前には、コロッケが並んでいた。
 揚げたてのコロッケ。都会ではそういうものを食べるって、テレビで見たことがあった。私の家では買い食いは厳禁だったし、かじりながら歩くような空気もなかった。

「………」
「いくつ?」
「え?」
「………」

 慌てて顔を上げたら目があった。
 そうだった。ここはスーパーに同居する惣菜屋だから、ぼんやりしていてはいけないのだ。ああどうしよう…。

「…み、三つ」
「おーきに」

 三つも食べられるはずがないのに。
 頼みながら後悔する自分がいる。なんて器用なんだ。

「はい二百四十円」
「………」

 皺だらけの手にぶら下がったビニール袋を受け取って、うなずきながらうつむく私。
 うつむくのは財布の中の小銭を探すから。そう。無理矢理な言い訳だ。二百四十円。大丈夫、財布は忘れてないから――――。

「どこから来たの?」
「え?」

 一瞬、息をのむ。
 別に何も難しくない。
 自分に言い聞かせて、それから表情に気をつける。

「学生さんでしょ?」
「は、はい」
「………」

 百円玉が二枚。
 十円玉は…、四枚あった。

「えー……っと、と、東北です」
「あら遠いのねー」
「はい、…まぁ」

 震える手でお金を渡した。
 そしておばちゃんは受け取って、額を確認した。
 別に、それだけの話だ。

「おーきに」
「あ、ありがとう」

 コロッケ三つ分の重みを加えたカバンを抱えて歩き出した私は、スーパーの出口で立ち止まり、ベンチに座った。そしておもむろに地図を開く。
 そんな自分の姿がとても可笑しくて、一瞬頬がゆがんで、気を取り直してさらにカバンを探る。蛍光ペンはきっと見つかるだろう。これでもレミタン部員なんだから。

 そしてもう一つ目標もできた。
 次は絶対に「東北」なんて言わないこと。私はそんな、どこか分からないほど広い場所から来たわけじゃない。
 真新しい線が光る地図を閉じて、再び歩き出す。次の行き先は自分の部屋だ。幸いここは、コロッケの冷めない距離だった……って、そんなことは地図を見なくたって分かるよね。

(相馬探険編 完)

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近況をば

 毎週末に発表したりしゃべったりで、その準備に追われている。一方で、前のエントリで書いたように、別名義のブログも更新していた。
 その別名義の方は、だいたい更新が終わった。まだもう少し記事が増えるだろうが、怒濤の日々は過ぎたので、もうそんなに手間はかからないだろう。
 けっこうすごい量だけど、夏少を知ってるなら不思議ではあるまい。まぁ向こうを見る人は、基本的に夏少を知らないはずなので、ビックリしてるようだ。ビックリしてない人がいたらいやだなぁ。

 さて、創作にはそろそろ復帰したい。ポツポツと「河図石語」に拍手なんてものもしていただいてるし、いい加減サボってはいかん、と思い直す今日この頃である。
 つい最近、すごく久々に学食で飯食ったのも、いい刺激になるかも。食べたカレーも、実に学食らしい味(褒め言葉ではない)だったし。

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よそで活躍中

 別に活躍はしてないけど、nats_showとは別名義のブログを更新している関係で、ここは滞っている。すまないことである。
 向こうが一段落しないと、創作に時間は割けないだろう。まぁ一時的なものなので、そのうちまたポツポツと更新再開の予定。

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