新お悔やみの部屋日記帳

自作小説を掲載したり、物書き状況を喋ったり。ツッコミ歓迎。写真とサカーは「はてな」に移転しますた。

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当方から覗ける小説は以下のとおり

●「お悔やみの部屋」では主に創作物の公開を行っています。現在も更新中なのは、「川辺の祭」と「河図石語」の2作品。他にも完結済長編などがありますので、こちらの本家玄関からどうぞ。
 感想やご意見は大歓迎です。ブログ掲載分ならばコメント欄、それ以外などはメールフォームに四六四九!

川辺の祭(大長編・10章1節まで公開済)
 舞台は本州日本海側の某市。普通の高校生に、謎の男女「ツル」と「ゴロウ」が取り憑いて、謎解きしたり仲良くなったりする物語。攘却の「祭」を経て、ラブコメ要素が強まっていますが、まだ謎の影は残っていたりします。 進行状況は祭を書いてる人の話エントリで。 
 ちなみに、基本的にはダラダラ笑いながら読むような小説です。実は原稿用紙2000枚以上あったりしますが、案外ストレス無く読めるという報告もあります。時間はかかるけど。

安楽の記憶(短編・完結済)    
 ブログで公開された初の連載小説(全4話)。なおhtml版も制作済。リアルタイム以外の方はhtml版で御覧あれ。
 内容は卒業間近の大学生の話。非常に難解なのでご注意。html版の解説を読むと、特定地域の人は楽しめるかも。

河図石語(シリーズとしては長編) 四月編         10 11 12
GW編      7−1 7−2   10 11−1 11−2 11−3 12−1 12−2 12−3 12−4
庭田激闘編1−1 1−2 1−3 相馬探険編1−1 1−2  3−1 3−2
五月研究会編1−1 1−2 2−1 2−2 3−1 3−2  5−1 5−2 
 ブログで現在更新中の連載小説(現在は五月研究会編)。html版もそれなりに充実中。格闘技団体を無駄にパクった画面に注目しておくれやす。
 文学部のサークル活動を主に描く作品。サークルの活動内容はかなりマニアックですが、わりと典型的な大学生の雰囲気を出そうとつとめている次第。基本的にコメディ…だと思われます。

さすがにもう潮時なのかも

 夏にハードディスクが壊れた。それはまぁ、仕事に必要なのですぐに修復させたけど、以降は一度もここを開くことがなかったのだ。
 これはもう、さすがに終わりではないか。

 まぁ正直、夏少という名義で活動する意義は既に存在しない。
 もちろん、このハンドルネームは、ゲームのハイスコアネームだった頃から数えれば18年ぐらいになる。歴史ある名前だ。しかし、それは名前の由来である事件からも、それだけの年数が経ったということだ。
 さして親しかったわけでもない、サークルの一後輩の自殺に由来するこの名前に、いつまでもつき合う必要は、もうないのだ。

 そんなわけで、今日明日に閉鎖する予定はないけれど、今後の更新はかなり期待薄であることを宣言しておく。
 何かの事情で気が変わる可能性はなくもないけどね。

テーマ:つぶやき - ジャンル:小説・文学

完結させるって素晴らしい

 二つの未完結作を抱える私であるが、別名義で書き始めた物語は、びっくりするほどきれいに完結した。原稿用紙にして六百枚超えの大作を、終わらせる力が自分にあったというのは、ちょっとした感動だ。

 どうなんかなぁ。別名義作が高校生の話だったし、「川辺の祭」をちょっと頑張ってみようかなぁ。
 残りのストーリー構成を練り直さないと、とても終わりそうにないけど。

 ところで、別名義作を読んでみたいって人はいるのでしょうか?
 煩悩のおもむくままに書こうとしたけど、案外そうならなかったなぁ。回りくどいラブコメみたいなノリも、結局変わってない感じだし。三つ子の魂百までじゃないが、そうそう生まれ変われないってことだな。

テーマ:物書きのひとりごと - ジャンル:小説・文学

ぬくぬくと生きている

 先日の地震で実家は停電したが、それ以外の被害はなかった。もちろん私は無傷だ。
 今は復興を口にする段階でも、無責任に励ます段階でもない。事態を見守って、祈るぐらいしかできない。

 そんな地震当日にも、別名義の小説を更新した。
 取り繕っても、元から役に立たないもの。しかし書くことが無意味だと思って書いているわけではない。何よりも、私自身に無限の時間が用意されていない以上、書くべきと決めたことは淡々と進行するのが筋だと考える。

 不要不急って言葉を、安易に使ってほしくないものだ。

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下手くそな物書き

 これは他人の悪口です。と、あらかじめ断わっておく。

 別名義で書いて公開すると、似た傾向の作品というものを見ることになる(私自身が「似ている」と判断するわけではない)。沢山の読者で賑わっている作品はどんなものだろうと、いくつか読んでいくうちに分からなくなってしまう。いったい何が評価されているのだろうか、と。
 二次創作はさておき、オリジナル作品で人気のあるものを読んで、ストーリーに起伏がないなぁとか、会話がつまらないなぁとか、ネガティブな感想しか浮かんで来ないというのはどうなのだ。自分だって、ライトの極みのような文体で妄想を垂れ流してるけれど、「書けない」ではなく「書きたくない」レベルに接してしまうと、少なからず動揺せざるを得ない。

 現代の若者は、ああいうひねりのない文章を好むのだと言われれば、そうかも知れないと思う。
 ただ、読者を狭く囲おうとする傾向が気になる。一般に、売り物のレベルに達していない作品の書き手は、自分の書いたものがどの層まで届くのかを推しはかることができない。それはそれで、何も今に始まったことではないが。

 まぁそういう文章面だけでなく、内容的にもいろいろ見えてきている。どうやら私はオッサンらしい、とか。同じ言葉でイメージされるものが、少なくとも十代の人たちとは違う。十代の学生と全く無縁の生活ではないので、ある程度は分かっていたけれど、読んでいくうちにそういう意味でもブルーになった。

 何にせよ愚痴っているうちが花である。書きたいものを書く仲間として戦うのみだ。

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相変わらずの別名義

 また年が明けてしまった。夏少というトンデモな名前を使い始めて十数年になる。もう、あの時に生まれた子どもが高校生になっているのだから、遠い昔のことになってしまった。
 別名義の方は、あからさまに仮名である。それは要するに、まだ夏少が本来の名前だという意味だ。年度内に終わらせたら、元の名前で細々と活動しようという意志の現れだ。

 といいつつ、別名義があまりに快調なので、どうしたものかという昨今だ。
 既に17万字を超えて、まだ終わらない。一つの章で6万字も書ける自分に、とにかく驚いている。「河図石語」の難産ぶりは何だったのだ、と。
 まぁ「河図石語」は、大学生という空気がないと書き辛いので、どうしても停滞してしまうのは事実だ。たぶん私は、大学生より高校生の方が書きやすいのだ。

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実は活発に活動中だったり

 また年が明けてしまった。ここで連載中の「河図石語」、そして長期中断中の「川辺の祭」の読者の皆様には、謹んでお詫び申し上げる次第でござる。
 以前の日記にも書いたように、「河図石語」は間違いなく復活する。現在書いているものが終わったら、モードを切り替えて再開させるので気長にお待ちくだされ。

 で、その現在書いているものは、久々の長編化となっている。
 久々とはいっても、「河図石語」だって原稿用紙なら200枚を超えているわけだが、二年以上かけてヨタヨタと積み上げた数字なので、あまり長い感じがしない。
 別名義の新作は、今日の時点で400枚超えだ。最終的には600枚ぐらいには到達しそう。書きたいものを書きたいように書けば、まだこのペースになるのだなぁと、我ながら感心している。最盛期の「川辺の祭」並みの勢いだぞ。

 「河図石語」に戻った際には、その勢いを殺さずにすすめたいものである。

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どうしようか、という感じで

 別名で書き始めた物語は、一ヶ月で180kを超えるという状況になっている。公開分だけでも余裕で原稿用紙100枚を超えてしまった。「川辺の祭」最盛期を上回るペースである。
 ペースが上がった理由はいくつかある。まずは、本当の意味で好き勝手な設定で書いていること。唯一の縛りは、年齢制限がかからないようにする、というだけだ。
 ちなみに年齢制限といっても、エッチな描写というよりは残虐な方面で、多少の遠慮をしている。「毒々モンスター」みたいなスプラッター・ギャグ風味もちょっと興味があるのだが、たぶん制限にひっかかるんだろうな。

 もう一つの大きな理由は、長いこと温めてきたキャラを動かしているから。
 夏少名義で公開しているものに共通する、ある系統のキャラの祖先が、メインのヒロインになった。理恵子→千聡→博美の流れですな。そのために、キャラ設定に悩む必要がなかったのである。
 この調子で書くと、最終的には300kぐらいに届きそうだ。あまり長引かせたくないので、それぐらいでは終わらせたい。

 で、悩んでいるのは、別名義にする必要はあったのか、ということだ。
 というのも、思いのほかまともな話になりつつある。好き勝手に書きはじめた時点では、男性キャラはわりと適当だった。それがいつの間にか、ヒロインを食う存在感に育ちつつある。結果として、滅茶苦茶な話のわりには高校生の物語として成立していたりする。
 まぁとりあえず完結したら、改めて統合の検討に入ろうと思う。統合してしまった際には、「夏少はこんなものを書くのか」と笑って許してくれい。

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煩悩の鬼

 現時点では変名で掲載予定の新作は、けっこうすごいペースで進んでいる。既に30kだし。
 そうやって書き始めたことで、判ってしまった。これも長くなりそうだ。

 予定では、160k程度ですべて終わらせようというつもりだった。というか、そこまで長引くかどうかも怪しかったのだが、蓋を開けてみればとんでもない。
 エンディングを書く頃には「河図石語」(未公開含め200kちょっと)を軽く超えそうだ。さすがに「川辺の祭」(1654k)には及ぶまいが。

 で、「現時点では」と最初に書いたのは、もしかしたらここで公開するかも知れないという意味だ。
 基本的に、あまり禁欲的に書かないことを狙ったので、ここに載せるとちょっと他と色が違いすぎて気恥ずかしいのだ。しかし、煩悩の塊のような物語だけというわけでもない。ある程度のクオリティまで達した場合には公開するだろう。

 いずれにしても、この新作は起承転結のはっきりした物語になるから、異色なのは間違いないけどね。まぁ「川辺の祭」はちゃんと起承転結を考えているのだが、結を書けてないのがなぁ……。

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近況とか

 いつの間にか完全に更新が止まってしまった。元々ひっそりしたブログとはいえ、申し訳ない。
 正直にいえば、いろいろ環境が変わったこともあって、大学生の物語を書こうという気力が湧かなくなっている。『河図石語』は愛着もあるし、元々がゆるい話なのでいずれは復活するだろうが。

 そんなわけで現状を書いておく。
 『河図石語』五月研究会編は、次の話までは必ず公開する。研究会のメインの回なので、公開しないと書いた意味がなくなってしまう。
 一応、ラストまでは粗々なら出来上がっているから、その気になれば数日でも公開にこぎつけられる。とはいえ、その数日を生む気力が今欠けている。何とかしないとなぁ。

 で、その気力がどこに向いているかというと、別の物語の構想に向かっている。
 それも、どちらかといえばファンタジーかも知れないような話を書こうというわけだ。概略だけだと、その辺のライトノベルかマンガに転がってそうなぐらいありふれている。
 まぁ、書きだしたらどう転ぶか分からないけど。

 まだ書いてないその新作は、ここではない場所で公開していく可能性が高い。毛色が違いすぎるので、分けて考えたいなぁと思うのでござる。
 まだ書いてないから、悩む必要もないけどね。

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河図石語 五月研究会編第6話(浜中)

 ついにこの時がやってきた。
 俺たちはとうとうこの瞬間に立ち会ってしまった。

「長沼さんは?」
「さぁ…、別に何も連絡は聞いてない」

 いつも見慣れた教室が亜空間と化す時がやってきた。
 俺たちはとうとうこの瞬間に立ち会ってしまった。

「五十川さんは何時までだっけ?」
「えーと、五時半には抜けます」

 居並ぶ勇者たちは、紅潮した顔で今か今かとその時を待っている。
 そう、俺たちはとうとうこの瞬間に立ち会ってしまったのだ―――。

「五時半か。まだ終わってねぇだろうなー」
「そんなにかかんないわよ」
「庭っちは全然分かってねぇ!」
「はぁ?」

 なんだこの緊張感のない会話は!
 これから研究会が始まるというのに、なぜ部長自らだらけてるんだ! 許せねぇ、許せねぇ!

「で、ちゃんと持って来たでしょうね?」
「はぁ?」
「はぁ…じゃないでしょバカ」

 これもいまいち緊張感のない発表者が、わけの分からないことを口にする。
 なんだ、これも奥の手か。俺の怒りを分断する作戦か!?

「テキスト持ってない子のために、余分に持ってる人は……」
「……あ」
「うむ、サダジュンは忘れた、と」
「…………」

 ああ!
 ああ、俺は忘れていたさ!
 俺の家にはなぜか文庫本が二冊あるが、一冊しか持って来てないさっ!

「結局自分のことしか考えてないのよねー」
「騒ぐ価値もねーようなことでギャーギャーうるせぇし」
「まぁまぁ。悪気はないんだから…」
「………」

 ナオナオのフォローが空しい。
 俺はいつになったら真のナイスガイになれるだろう。レミタンのヒーローになれるだろう。一気に熱は冷めていく。クール・ダウン。
 ………。
 しかし、しかしだ!
 一期一会という言葉を知っているか!?
 俺たちが今こうやって当たり前のように集まって、宮サマの発表を聞くということが、どれほどの奇跡の積み重ねで成り立っているか、君たちは知っているのかっ!?

「えー、それでは時間を十五分ほど過ぎましたので、そろそろ始めたいと思います。今日は三回生の宮海博美さんの発表で、タイトルはシンプルに「『妖怪談義』概説」だそうです」
「シンプルで何か問題ある!?」
「宮海さんは二年前に本学にめでたく入学され、すぐに歴史民俗探検部へも入部されました。以来、レミタンの主力としてご活躍です。昨年の秋からは副部長…」
「そんな学会挨拶いらないから」
「チェっ、それでは宮海さん、よろしくお願いします」
「どこの世界に舌打ちする司会がいるのよ」

 まぁいい。宴の始まりだ。俺はハイエナのように鋭い目で、まずは宮サマの誤字脱字を発見してやるのだ。ふっふっふ。

「………はぁ。えー、宮海です。今日は概説ですので、お手柔らかにお願いします。レジュメは全部で五枚です」


※感想、拍手など歓迎します。

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たまに更新

 というか、「河図石語」5月研究会編6話(浜中)はもう出来ていたりする。
 ただ、何となく公開のタイミングではないような気がしているわけだ。

 今のここを覗いてる人っているのだろうか?
 そんな不安もあったりして。

 まぁ不安があろうがなかろうが、ここにしか公開しようもないので、数日の間には公開する予定。
 7話も執筆中だ(宮海)。

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昔のままとはいくまいが

 「河図石語」更新に続いて、寝かせたままの「川辺の祭」再開に向けたリハビリ開始。というか、いきなり少しは書いてみた。
 公開済みの10章1節に、2節、3節、4節それぞれの書き残しを読み直すと、こっぱずかしくて一瞬頭がくらっとした。もちろんこれは狙って書いているのだが、恐ろしい破壊力だ。
 どちらかといえば「河図石語」は、恋愛模様を前面に出さない方向で進んでいるわけで、そこから「祭」に戻るのはなかなか勇気がいる。仮に戻れても、ヒロくんと庭っちを往還するのはかなり厳しいのではなかろうか。

 思うに、両方の読者ってどれほどいるのだろう?
 このブログでは「安楽の記憶」という極端なのを挟んだから、自分の感覚では「祭」と「河図石語」は似たような物語のつもりだった。しかし改めて読むと、これは大きな差だ。どうにかせねば。

 「河図石語」もようやくトータル200kに届く辺りで、ここでやめるわけにもいかないので月一ペースを何とか持続するつもり。
 「祭」の今後は、まだ何とも言えない。10章2節は比較的まとまった量なので、まずはこれを公開にもっていきたいと思う。ちなみに2節は勝ピー話がメイン、3節は部活、4節はデートみたいなものになる。


 まぁしかし、一番困るのはキャラが被るとこだな。実際にはあんまり被らないけど。
 「祭」の祐子視点と、「河図石語」諸氏はある程度重なるが、祐子視点は今後はあってもイレギュラーだ。なんたって「祭」の語り手は一人だ。
 雰囲気だけなら、勝ピーとサダジュンか。ちさりんと宮サマは意外に被ってないな。

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河図石語 五月研究会編第5話−1(村上)

 レミタンはいい加減を宗とする。
 レミタンは適当を宗とする。
 レミタンは……。

「できた」
「本当に?」
「……ちょっと見直してみる」

 三限の授業が終わると、博美はすぐに一階の談話室に走り出す。体力に自信のない私は、できるだけ後を追うけれど、そのうち人混みに包まれて一度見失った。
 誰も博美と同じ用なんてないのに、みんな駆け足で階段を降りていく。次の授業になら、歩いたってきっと間に合う。だけどその一秒が大事なのだと、昔聞いたことはある。
 ………昔じゃなくて二年前だ。その時にそれを主張した人物のことは、今も鮮明に思い出せる。いつでも物真似できるぐらいに。
 きっと当人は忘れている、些細なこと。

「博美の舞台まで、あと一時間二十三分」
「人類滅亡じゃないからカウントダウン不要!」
「だって、博美の顔見てるだけじゃ暇だし」
「そもそも顔を見るな。アンタだって発表あるんでしょ!」
「どうせ焼き直しだし…」

 彼氏みたいな彼女とは、はぐれた約一分後にまた合流した。
 そして忙しそうな博美を眺めながら、私はやることもない。授業のプリントを整理しつつ、時々博美の表情を盗み見する現在の時刻は、午後二時五十七分。
 あまり実用性のないソファーと、作業用机が半々に並ぶ談話室は、いつも汚れている。紙くず、こぼしたコーヒーの痕……、きっと不注意の結果であって、わざわざ汚そうという人はいないはずだけど、人が集まれば汚れていく。それは宿命だ。

「コーヒー飲む?、博美」
「ごちそうさま〜」
「まだおごるとは言ってない」

 ともかく、コピーさえすれば本番に臨める状況になったようだ。コピーはどうせ直前までしないから、約一時間十三分ぐらいの私は暇をもてあます予定。
 博美は完成したレジュメを絶対に見せてはくれない。本番まで内容は秘密にするものだ。その方が聞く側も楽しみでしょ?、という論理で。
 本当にそうだろうか?
 博美にそれを聞いたことはないけれど、ずっと疑問に思っている。

「じゃあお願い、直美」
「コーラも可?」
「私はホット!」
「そんなこと知ってる」

 たとえ疑問だらけでも、博美の行動様式は、無意識に流されてのものではない。
 他人の真似をするのはプライドが許さない、そんな姿が凛々しいからみんなが憧れるのだ。もちろん今の博美も、コーヒーを買わせようとするそんな表情すら美しいのだ。
 ………。
 自分が病的だという自覚はあります。一応は。

※後半につづく

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河図石語 五月研究会編第5話−2(村上)

 紙コップの縁で、プチプチとはぜる音。
 そのかすかな響きを聞く幸せな時間は、いつもあっという間に終わってしまう………。

「はぁ…」
「えっ?」
「………」

 声を挙げた瞬間に、それは博美のため息だったと気付いたけれど、私の口は止まらなかった。そして私の勘違いの声に、博美は何も応えてくれなかった。
 寂しい。
 そう。コーラを飲みながらぼんやりしている私は、いつも博美に突っ込まれて正気に戻る予定になっている。だから博美に無視されてしまうと、ただぼんやりした学生だ。私はダメな人間だから救われたい―――、そんな身勝手な妄想で生きているから。
 でも……。

「…なんか用?」
「ううん」

 用はない。ただ見とれているだけ。
 真剣なまなざしの博美は、息をのむほど美しい。時々は無視されても仕方ないかなぁ。

「で、直美」
「え?」
「妖怪って何?」

 しかし、そんな至福の時ははかなく消える。
 博美の瞳は相変わらず輝いている。美しく光るその眼は、だけどどこか意地悪で、どこか自信にあふれている。こういう雰囲気は危険だ。とても危険だ。

「いると思ってないのに、なんで鬼太郎みたいなマンガが流行るの? ううん、魔法だとか陰陽師だとか、あるわけないと思ってるのになんで喜んで読んだりするの? なんで?」
「それは博美が質問されたら答えることでしょ」
「私は答えないわよー」
「なにそれ」

 こうやって一気にまくし立てる時の博美は、やっぱり庭っちに似ている。いつもクールで格好いいけれど、博美のそれはたぶん虚像で、奥には熱い魂の叫びが隠されている。それって、どこかの熱血マンガの主人公みたいだ。

「発表者は最後に自説を述べるの」
「みんなが分からないって答えたら?」
「大丈夫、それは無理だから」

 無理と言い切れる博美を見ると、だけど一瞬だけ敗北感に襲われた。
 私は博美の観察者。
 だけどそれはたぶん一番じゃなくて、二番目なんだろうな。

※感想、拍手など歓迎します。

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